大日本印刷が運営する「市谷の杜 本と活字館」へ行ってきた。

1926年竣工の大日本印刷市谷工場営業所棟を再利用した博物館。以前から入館したいものの、博物館を通りかかるのは案外遅い時間ばかりだったのだ。
今回は16時過ぎにたどり着き入館できた。
開館時間は10時から18時まで。たぶん受付は30分前までじゃないかな。

活版ですねえ。活字ですねえ。

何も調べてなかったけど企画展が「明朝体」という萌える展開。

エントランスからさすがの雰囲気だった。
ボクは写植時代からの人間なので活字印刷はさほど詳しくない。それでも展示してあるモノは分かる程度の知識。



活字の説得力はすごいよね。


大日本印刷が手がけた活版印刷での雑誌や辞書が展示してあった。

活版印刷で大量に印刷するときは写真にある紙型(しけい)を使う。紙で出来た鋳型だ。
組み上げた活版には耐久性が無く、大量に印刷すると摩耗してダメになってしまう。また保管も難しい。
その組み上げた活版に、溶けた高温の鉛に耐えられる紙を載せて加熱加圧して紙型を作る。紙型に鉛を流し込んで版ができる(大雑把な説明)
紙ゆえに保管も簡単になり印刷効率も上がったのである。
たわめた紙型に鉛を流し込んで版を作ると輪転機にかけることができる。
誤字など紙型を修正することも可能だけど、イチから直さなければならないことがある。
なので版を壊して重版をすると第2版。そのままだと初版2刷りという表記になる。第2版を壊さないで重版となると2版2刷りという感じ。
この辺は、活版印刷時代から活躍していた編集者兼デザイナー氏から聴かされたこと。
昨今「第2刷りとなりました!」的なものを見かけると「ふーん」となることもある。いまは版を作らないで刷版だからね。刷版は保存しないから。
PCにあるものを版としているのかもしれないけど。
いまだに0.1mmのK線をオモテK、0.3mmをウラKと言ってしまうのも彼らに教え込まれたひとつ。
この辺を説明していると長くなる。
活字を拾うシュミレーターがあった。こんなん無理やで。当時の人はよくもまあ。
試しに挑戦してみたけどモームリ。楽しいけど。


しかし活字は本当に迫力がある。

2階では企画展「明朝体」が行われていた。
来館者が明朝体にときめいていた。本当に素晴らしい世界。

数ある明朝体でもボクはやっぱり石井明朝体が一番好きだなあ。
何周も回って石井明朝体にたどり着いた感じ。

いろいろな明朝体が揃った。まさにオールスター明朝体。

ライターや編集をはじめたのが1991年。この頃になると写研から新しい書体は出なくなった。写植屋に訊いても「もう出ませんね」という感じだった。ちょうどモリサワとAdobeが手を組み始めたころかなあ。

石井細明朝体は1955年に発売された写研の書体。
書体もいいのだけど、結局は写植屋のセンスで組版が台無しになるか素晴らしい仕上がりになるかも決まってしまう。

明朝体のおみくじがあり試しに挑戦。「石井明朝体でろ!」と願うも築地体でした。
築地体も素晴らしい書体の一つ。でも自分で使うようになったのはここ数年かなあ。

シオリに印刷できる体験コーナーがあった。
1階に降りようとしたら職員さんに「いまシオリ印刷が体験できますよ」と呼び止められた。たぶん変なテンションで館内を回っていたので「こやつ印刷が好きなんだな」と見透かされたのかも知れない。


ひょいひょいついていって印刷機の前へ。
インキは円形になっているところに塗って居ある。紙をセットしてレバーを操作してローラーにインキを載せたあと一気に押し込んで紙に印刷するという感じ。
丁寧に職員さんが教えてくれるので、ミスプリが発生するのは少ないかな。
体験型はすごく楽しいよね。なんか気分が上がりすぎて死ぬかと思った。
1階のカフェーコーナーでラテを注文。ランダムでいろいろな明朝体が出てくる。
職員さんに「石井明朝体キボンヌ」と伝えるも「ランダムですからね」と、出てきたのが筑紫明朝体。この書体はけっこう使っているなあ。使い勝手の良い書体です。


さほど大きくない博物館だけど、展示物が楽しすぎて2時間近く滞在していた。
これは再訪します。ちなみに入場料は無料であります。
